神々のつぶやき No.34 いずれも先達から聞き及んだ話だが…

我が輩はねずみであります。
ですが、以前は人間もしておりました!
我が輩ねずみと人間の間で見た聞いた話をするチュー。

“修行と師匠と悟りの極意だとさ!” その1
我が輩が鼠小僧寿し太郎時代に聞き及んだ話であります。では行くべか〜!

寿し太郎君は修業時代、禅の師匠を探していた。
彼は何年も師と共に暮らしていたが、ある時、師は言った。
「寿し太郎はほぼ成就した。すべては申し分ない。」
しかし師は「ほぼ」と言った。

そこで寿し太郎君は言った。「どういう意味でしょうか?」
師は言った「何日かお前を別の師のもとへやらねばならん。それが最後の仕上げになるだろう。」と。
寿し太郎の胸は高鳴った。彼は言った。「すぐに行かせてください!」

書状が彼に渡された。彼はいたく興奮し、自分の師よりも偉大な師のもとへ送られるのだと思った。
しかしその人物のもとに到着すると、彼は何者でもなく・・宿屋の番人、宿屋の門番だった。
彼はひどくがっかりして思った。「これは何かの冗談に違いない。この人が私の最後の師になるだって?
彼が最後の仕上げをしてくれるだって?」しかし彼は来てしまった。
「何日かここに留まるほうがいいだろう。少なくとも休息にはなる。それから戻ろう。長旅だったことだし。」

そして番人に言った。「私の師がこの書状をよこしたのだが。」
番人は言った。「あいにく私は字が読めないもので。書状はお取り置きください。それは必要ございません。」
と言われてしまった。

「あなたさまは、こちらにお泊まりいただけます。」
寿し太郎は言った。「しかし、私はあなたから何かを学ぶために送られてきたのだ。」
番人は言った。「私はただの番人です。師匠でも教師でもございません。何か勘違いがあるに違いない。
あなたは間違った者のところにいらっしゃったのでしょう。私はただの番人です。教えることはできません。
私は何も知らないのです。ですがせっかくおいでになったことですし、ただ私のことを見ておられるのもいいでしょう。
助けになるかもしれません。お休みになってご覧ください。」

しかし、見るようなものなど何もなかった。
朝方、寿し太郎は宿屋の扉を開けた。すると客が訪れ、番人は客用の物―鍋、調理道具、ありとあらゆるものを拭いた。
彼はかいがいしく働いた。そして夜になって誰もが去り、客が床につくと、彼は再び客用の物を拭いた。
鍋、調理道具、ありとあらゆるものを。

そして朝になると再び同じことを繰り返した。
三日経つと、寿し太郎は退屈してしまった。そして言った。
「見るものなど何もない。あなたはずっと調理道具を拭き、ありふれた仕事をつづけている。私は出て行きます。」
番人は笑ったが、何も言わなかった。

寿し太郎は戻った。彼は憤慨して師に言った。
「なぜです?なぜ私はこんな長旅に出されたのか?うんざりしました。その人物は宿屋の番人だったのです。
彼は私に何も教えてくれず、ただ“ご覧なさい”といいました。でも見るようなものなど何もありませんでした。」
しかし、師は言った!

サァー どうなるかチュー
その2 次回に続くチュー

勾玉鼠小僧拝

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