我が輩は猫であります。
ですが、以前は人間もしておりました!
人間時代に聞き及んだ話をするニャー。
【自由へと飛び立つ?いろいろな事があるニャー】 その②
心やさしい客の一人がスゴイ人に”なぜ?”と質問をした。スゴイ人が答えだした。
「では実証してみせようか。」と言う。
その時、一羽の鳥が迷い入り・・・
一羽の鳥が家に迷い込んで来た。
これは鳥だけの問題ではない。人間にも起こる事だ。
あなたがたも観察したことがあるだろう。鳥が部屋に迷い込んで来る。
開いている窓から入ってくる。
どこから入ったのか自分でわかるはずなのに、入ったその瞬間、その窓のことを忘れてしまう。
そして、あちらこちらとバタバタ飛び回る。
自分で入って来たのだからわかりそうなものなのに、
どうして同じ窓から出て行こうとしないのだろう?どうしてあちこち飛び回る?
鳥が慌てふためいて怖がれば怖がるほど入ったその源泉はますます遠ざかる。
と、奇跡が起こる!
鳥は壁という壁にぶつかって行くが、その窓の方には決して飛んで行かない。
この鳥は笑ってはいけない可愛そうな哀れな鳥・・・
これは人間が陥っている事態と同じだ。
一つの例として例えばあなたが怒るとする。
あなた方は誰一人として、どうやったら怒れるかとは訊きに来ない。
ところが私のところへ来てこんな質問をする。
「どうしたら怒りから抜け出せるでしょうか?」
怒りの中に入ったのはどうやってかね?
これも同じ事だ。
つまり鳥は部屋の中にどう入るかは知っていたが、そのことをすぐに忘れてしまった。
どうやら頭の中のどこかに一種の惑わし装置があるようだ。
そうでなかったらどうしてこんな問題になる?あまりにも明らかな事ではないか。
窓が開いている。鳥はそこから入って来た。同じ窓から出ていくがいい!
しかし、頭の中のどこかに無意識のどこかに出るときに通る道筋は
入るときの道筋と違っていなければならないという考えがあるようだ。
これが問題だ!
鳥が落ち着くのを待ち受けて・・・
鳥がもがいている間は助ける事はできない。
その助けは鳥にとって混乱を増すだけになる。
鳥はますますあわてふためき気ちがいじみてくる。
人間も同じであり、私の許に来るような時はよくあることだが、あまりにも落ち着きがなく
混乱しているので、私がすぐに助けの手をのばしたらますます混乱してしまう場合がある。
そんな時には私は待たなければならない。
唯一開いた窓近く、ようやく鳥が落ち着くのを待ち受けてスゴイ人は突然パン!!と手を鳴らす。
もう一度大きくパーン!と手を打つ!
鳥はびっくりし、怖れ慌てて窓の外へ飛び出て行った。
驚いた鳥はまっしぐら自由へと飛び立った!
彼はこう言った
(あの音はちょっとしたショックだったに違いない。侮辱でさえあったかもしれないね。
あなたはそうは思わないかい?)
スゴイ人は心やさしい客人に訊いた。
「あの鳥のとった姿勢はどんな姿勢かね?私の鳴らした手の音はショックだったに違いないが、
しかしそれがあの鳥に役立つ唯一の方法だったのさ。
そら厳しいやり方だ。侮辱的だ。だがそれではじめてあの鳥は自由を得た。
今頃はきっと大空高く舞い上がっている事だろう。
今になってきっと私に感謝しているだろうよ。
私が手を鳴らした時はおそらくあの鳥は腹を立てたに違いない。
私のことをきつい奴だ。敵みたいな奴だと思ったに違いない。
しかし、ふたたび羽を広げて大空を楽しんでいる今、全く自由になった今、
私に感謝していることだろう。
人間もおおかた同じ事さ!
フーン!フーン!
今度生まれ変わったら鳥になるニャーか!
終わり。
勾玉小僧拝