第四話<葬><廟とは><墓の発生>
先に述べたように古代では人が呼吸をしなくなると、土を浅く掘り、そこに死体をさらした。この場合肉が腐敗して骨格が真っ白になる。
これを「死」といったのであるが、この骨格を「魄」といった。白い骨格となると「頭蓋骨」だけを残して他はこれを地に埋めた。
この埋める事を「葬」といった。これが中国古代に於いて死んでから葬式を行うまでに短くて三ヶ月、長くて七ヶ月の間を置く礼俗の根本原因である。
では何が為に頭蓋骨だけを残したかと言えば、頭蓋骨は心の宿る所と考えたからである。
<廟>とは。
この頭蓋骨を祭った所が廟である。ではこの頭蓋骨は祭りのときに人間がかぶった。このかぶった人間は遺族の場合もあるが、儒家の場合もある。
この姿を文字にしたものが「鬼」であるといわれている。
この文字の上部は頭蓋骨をしめている。その下部は人間の足を示している。正に鬼とは祭られる人その人の姿なのである。
であるから「鬼」とは「帰るなり」という説明が出てくるのである。死んだ人が帰ってきたのが鬼である。
古代人は霊魂は高く天に在って生存し、何時でも鬼頭に帰って来る、それを 蒙(こうお)った形が「鬼」であるからである。
<墓の発生>
魂の場合は天上に浮遊しているので、それにたとえいたずらしようとしてもどうすることもできず、安全であるが、魄の場合は地上なので、きちんと管理して保全をしていないと荒らされる可能性がある。
そうなると招魂再生のときに困るわけである。だから魄、具体的には白骨を管理する墓が大切にされるわけである。
当然、死者の肉体を焼いたり捨てたりするなどということは、とんでもないこととなる。
儒教文化圏の中国、朝鮮半島、日本において墓が重視されるのはこういう理由があるからである。
現在の日本では土葬ではなくて「荼毘(だび)に付す」すなわち仏教流に火葬にしているのではないかと思われるかもしれないが、それは誤解である。
確かに日本では火葬とは言っているが、そうして焼いた骨をインド人のように川へ捨ててしまうような事は絶対にしない。焼いた骨の一部を拾い、それを墓に納めている。すなわち焼身処理をした遺骨にたいして納骨式土葬をおこなっているのであり、いわゆる遺体をそのまま埋める土葬の精神と本質的に違わない。
さて頭蓋骨では気持ちが悪いので、しだいに代替物が使われるようになる。
最初は生前のその人の顔に似せたマスク(面)を作った。これを「魌頭(きとう)」と言う。
或いはこれに手足をつけて神の坐に置いた。
これが尸(シ、かたしろ)の始まりである。その後になると祭られる人の孫をもってこれに変えた。孫を用いたのは招穆相当る(しょうぼくあいあたる)(祖父のあとを継ぐのは孫という意味)からだと言われているが、同時に化身であると考えたからである。
つづく
少しむずかしいなぁ〜〜〜
まあいいか 勉強になるね。いいね!
次回は(神主)しんしゅ 仏教でいう位牌の始まり。
辰まる君でした‼