神々のつぶやき NO.18 いずれも先達から聞き及んだ話だが…

我が輩は猫であります。
ですが、以前は人間もしておりました!
人間時代に聞き及んだ話をするニャー。
西洋であった話だが…

ヤクソク! その②

「私はまだ生きている。たとえ王国を失っても、これはまたいつか取り戻せる。もう一度征服することができる」

王は自分の命を救うために国を離れた。敵は追ってくる。その馬の足音が彼には聞こえていた。
それはどんどん近づいてくる。彼は走って逃げた。友軍を見失い、馬に死なれ、
今や王は自分の足だけをたよりに走り続けた。あちこちで傷ついて、もう足も血みどろだ。
これ以上走れないとなっても、彼は走らなければならなかった。おまけに空腹だ。敵は次第に近づいてくる。

と、彼は行き止まりの道に入り込んでしまった。道は途絶え、もう前方には何もない。
そこは絶壁だった。敵はますます近づいてくる。後退すれば、敵に出くわしてしまう。
かと言って飛び降りることはできない。この奈落は深すぎる。飛んだら死ぬだけだ。
もうあらゆる可能性が絶たれたかに思われた。

が、彼はまだ条件が完全に満たされるのを待つ。
「私はまだ生きている。もしかしたら敵は方向を変えるかもしれない。
あるいはこの絶壁から飛び降りても死なずに済むかもしれない。条件はまだ満たされていない」

その時、彼は敵が間近に迫ってきたのを感じた。崖から飛び降りようと下を覗くと、
今まさに2頭のライオンが谷に入ってくるのが見えた。腹を空かせてどう猛な顔つきで彼を見上げている。
もう一瞬の時も残されていなかった。彼の最後の瞬間はもう五本の指で数えられるほど切迫していた。

ついに、かれは指輪を抜き取った! そして、開いて宝石の下を見た。
そこには言辞(メッセージ)が彫られてあった。
「これもまた過ぎ去る」

彼はくつろいだ。
この王は、メッセージを通じて完璧な智恵を会得したと言われている。
「これもまた過ぎ去る」というメッセージを通じて…

ことはそのように起こる。
敵は方向を変えて動いていった。ざわめきも聞こえなくなり、足音はだんだん遠ざかっていく。
彼は腰を下ろした。そして休み、ぐっすり眠った。

それから10日と経たないうちに、彼は軍団を再編成して国に立ちかえり、敵を制覇して宮殿を取り戻した。
人々は歓声をあげて祝い、喜び、狂わんばかりの大騒ぎだった。
路上には踊りの輪が広がり、色とりどりの灯(あかり)がともされ、花火が打ち上げられた。
王自身、興奮していた。彼は幸福の絶頂にあった。あまりの喜びに胸は高鳴り、幸福すぎて死ぬかとさえ思った。

と、突然彼は、指輪を思い出す。
そこで、宝石を開いて銘を見ると、このように書かれていた。
「これもまた過ぎ去る」
人生のマスターキー。
取り返した王国はその後500年は続いたという。

これを絶えず覚えておくこと!
深く、深く、途絶えず続くものとして、夢の中でさえ憶えていられるようにすること。
「これもまた過ぎ去る」
夢の中でも、あなたは「これもまた過ぎ去る」ことを知っているようにするがいい。
呼吸にも似て、いつもいつも、そこに在るように。そして、そこに在るということ、それが自分を変容させる。

これがマスターキーだ。
自分のもっとも奥深い秘密の扉を、自分自身のみ開くことができる鍵だ。
そこから、そこを通って「実在」の本体そのものへの扉が開かれる。
人生バンザイ。

なんとなく、スゴイ話だニャー
しかし、王様はスゴイ人だニャー
いろんな話があるもんだニャー
じゃ、またネ~

勾玉小僧拝

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